ベルカント発声を“ポピュラー音楽をうたう声に応用すること“で、大きな効果を生みます。
基本的にポピュラー発声もベルカントも同じ「ひとつの声帯」を使うわけであり、問題となるのは「その使い方」となってきます。
例えば女声の場合、ベルカント発声は、頭声(裏声的な)という非日常的な声帯の使い方であり、ポピュラー音楽をうたう場合は基本的に地声発声(普段のしゃべり声の延長)となります。この二つは「似て非なる発声」ではありますが、非常に共通点が多くもあります。
例えば、呼吸法、支え、声のポジション(当てどこ)などは、両方の発声ともに存在します。聴こえ方が違うのは、その発声様式(声帯の振動様式)が若干違うからです。
女性の場合、ミュージカルなど役柄によって発声の使い分けが必要となります。「オペラ座の怪人」のクリスティーヌ役は頭声発声、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌやファンティーヌ役は地声による発声となります。ミュージカル歌手を目指す女性の方で、この二つの発声を身につけることは大変有利になります。
また、男性のポピュラー発声の場合も上記と同じく、呼吸法、支え、声のポジション(当てどこ)は必要であり、ベルカントとの違いは、「あえてチェンジをしない(アクートではなくミックスボイスを使う)」、「声の共鳴を前側に感じる」、「共鳴をあえて減らす(マイクロホンを使うので)」等々です。
ベルカント発声を活用することによって、クロスオーバーな歌唱(いかなるジャンルの歌)が可能となります。